2023.4.1

新年度への期待

―――道を切り開くのは個々の企業や個人―――

               名古屋大学  客員教授  経済学博士  

 新年度こそは明るくしたいと願わない人はいないであろう。

 世界の中には大変に悲惨な目に会い、打ちのめされているところもある。戦禍の中のウクライナや大地震の災害地トルコやシリヤの惨状を見ると、安泰なわが国に居て不満を述べるのは気が引ける。しかし現実には何十年ぶりかの消費者物価の上昇が毎日の生活にはこたえる。長期に渡る景気の低迷から離陸し、経済成長の軌道に乗せてもらいたいものである。

 国民の要望を汲み取って実現を図るのが政治である。人々の悩みや要望を探し出し、それらをテレビや新聞や雑誌が後押しする。それを毎日見ている国民は生活苦を何とかしてほしいと政府に願うのは当然である。

 その要望に沿うために政府は色々な対策を立て実行してきている。ところが、それでは不十分なのである。さらなる上乗せが政府に要請される。

 政府に打ち出の小槌があるはずがない。現実には将来の国民の負担となる借金で資金を賄い、現在の国民の要望に沿うように無理を重ねてきている。そのような無理を今年度も続けることになるが、それをさらに上乗せすることの無謀さが報道されることはほとんどない。そのために現状が相当に無理な政策によって、大きく嵩上げされていることに気が付かないことが多いように思われる。

 無理を承知で、さらなる支援を政府に依頼して待つことが良いのであろうか。新年度に当たり、現在の日本経済の現状を冷静に見て、将来にわたって成長する基盤を固め直す必要があるのではなかろうか。

それは個々の企業や人々が考えるべきことである。現在がどれほど恵まれているかの認識がまず必要である。恵まれ過ぎている分が無くなるのは当然である。そのうえ将来のために余分に働き出し、その成果を自分たちが使うのではなく、将来のために蓄積する必要がある。相当な覚悟が要請されていることを認識しなければならない。

 

---ISIDフェアネス-パーフェクトWebへの寄稿(2023.4.1) 244から---

 

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