2023.1.1

平穏な新年の経済

―――明るい将来を目指すためには‥‥―――

                     名古屋大学  客員教授  経済学博士  

 わが国の経済は新年も平穏に推移しそうである。欧米の先進諸国がインフレと景気の悪化に苦しむ事態が続くのに比較すると、恵まれていると言うべきであろう。

 もちろん課題は多い。物価の上昇が国民生活に影響を及ぼしている。経済成長から見放されて久しい。景気は低迷したままで賃金は上がらず、今年も明るくなりそうにない。

 政府は支援のために救済策を繰り出し、消費者物価の上昇による生活苦を和らげるために財政による支援を続けている。このような政策は他の国々では真似ができない。財源がないからである。わが国の場合は大量の国債を発行することによって支出に充てている。それができることが日本経済の有難い点である。そのため政府は今後も引き続き、このような国民生活への支援を続けると思われる。お陰で現在の平穏な景気が維持されるであろう。

 ただし、このような政策は経済を成長させることにはならない。そのため日本経済は従来と同様にただ平穏に推移するだけであり、将来に対する夢と希望から見放される事態が続きそうである。

 それは、わが国が長年にわたって培ってきた膨大な経済力を使って目先の景気維持を続けているからである。この動きはまだまだ続けることができる。その間、成長は期待できなくても、大きく落ち込むことを防ぐことができる。そのため今後とも政府はこの政策を続けることになり、われわれは成長から見放されるものの、安定した生活を送ることができるであろう。

 ところが日本の経済力は今後も着実に減衰して行くと考えられる。そして、やがては普通の国と同様に転換点を迎えることが予想される。その後は急速な下降が待っている。悪性インフレになり、国民の生活水準が急落し続けることになろう。

 それを回避するためには、われわれが財政赤字に対して真剣に考えて取り組む必要がある。従来とは違った決意がなければならない。明るい未来のために考え方を転換し、われわれが犠牲を払って夢と希望を目指す必要がある。

 

---ISIDフェアネス-パーフェクトWebへの寄稿2412023.1.1)から---

                 

 

inserted by FC2 system