2020.10.1

異常事態が通常になる準備

   ―――厳しい対応が急がれる―――

       名古屋大学  客員教授  経済学博士  

 大自然の力は偉大である。集中豪雨、酷暑、大型台風、異常気象が続いている。これからも何が起きるか分からない。一応の準備をしているものの、予想外の大きさになれば被害は甚大である。それが毎年のように発生するようになった気がする。

その上に新型コロナウイルスである。その被害は全世界に広がっている。感染を阻止するために人の接触が許されなくなれば、社会も経済も回っていかない。それでは困ると規制を緩めれば感染が増える恐れが強まる。そのため手を緩めることが難しい。これからインフルエンザの流行する冬に向かうだけに、警戒を強める必要がある。第2波、第3波が予想されるところから、3蜜の回避は長引くと考えざるを得ない。

異常事態が恒常的になる以上それに対応しなければならない。平穏無事なところから比較すると極めて厳しい対応を迫られる。たとえ大きな災害でも、一部で一時的なものであれば、ある程度は対応することができる。しかしそれが広範囲に及び、恒常的に発生するならば、それ相応の準備が必要である。

国家としてやるべきことは多い。それを国に実施させるためには膨大な資金が必要であり、それらを国民が税金で負担しなければならない。

個人や企業としても自衛が必要である。将来のための対応を考えると相当な資金を準備する必要がある。これまでと同様に豊かさを謳歌しているわけにはいかない。

緊縮の動きが需要を減退させる。それが長く続くことを想定しなければならない。経済社会の中でも直接間接に多くの分野で営業が成り立たなくなる。それが長く続き、復活の見込みが立たない。当然に雇用に影響し、それが個人消費を押し下げて悪循環になる。

それが分かっているだけに、政府も懸命に無理を承知で各種の対策をとってきた。しかし、一時的には対応できても、常時対応することはできない。その限界を早く察知して対応した人と企業が何とか生き延びることになるような気がする。

 

---ISIDフェアネス-パーフェクトWebへの寄稿(2020.10.1)から---

 

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