名古屋大学  客員教授

                            経済学博士  

2019.8.1  200 

廃墟から繁栄を創り出した日本

    ―――自信を持って再発展を目指そう―――

大災害が起きると他の地域からの支援が必要である。食料飲料をはじめとし毛布や復旧資材など必要な物資が待たれる。

大災害が全国で起きると、支援する人がいなくなる。支援物資もなくなる。それが74年前の我が国であった。

大戦争のためにすべてを犠牲にした。そして敗れた。多くの優秀な人材を失った。原燃料も材料も使い尽くしていた。広島と長崎だけでなく、アメリカ軍の空襲で工場は爆撃され、中小都市まで焼け野が原となった。

食料がなかった。着る物もなかった。原料も材料も道具もなかった。機械もなかった。何も無いところからは何も作り出すことはできない。悲惨な状態が永遠に続くと思われた。

どん底からの復興であった。奇跡的な復旧から拡大を続けた。戦前の水準を超えた後も経済成長を続け、世界の最高峰を目指すところまで行った。

どん底では毎日食べるのに必死であった。食べることができると、次の目標に向かっていった。より高い水準を目指して努力を続け、

その成果を自分達が使い尽くすのではなく、将来の発展のために役立てた結果であった。

 どのような場合でも問題がある。それを解消するためには相応の犠牲が必要である。国民が犠牲を払って多くの問題を乗り越え成長を続けたのである。

 問題が大きいほど求められる犠牲が大きくなる。悪循環を引き起こす。それを恐れるために必要な改革が断行できないことが少なくない。

 落ち込みを回避することに注力する結果として、目先は安泰であっても、将来に持ち越す課題が大きくなり、その重荷に堪えられない事態に陥る恐れがある。

 我々は目先の落ち込みを恐れ過ぎている。どれほどの事態となっても74年前の悲惨な事態にまでなるはずがない。たとえ、そのような状況になっても復活する力を我々は持っている。

人も企業も国も勇気を出して大きな問題に挑戦するべきである。

 

---ISIDフェアネス・パーフェクトWebへの第200回の寄稿(2019.8.1)から---

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