2019.5.1

  新時代を切り拓く覚悟

―――長期的な発展を目指―――

                 名古屋大学  客員教授

                            経済学博士  

 内外に多くの課題を抱えた令和時代の幕開けである。オリンピックの先がどうなるかが心配である。個人や各企業にとっては社会全体の情勢に大きな影響を受ける。共通する願いは平穏に過ごせることであろう。できれば、より豊かに暮らしたいと考えるのが普通である。

 安易に毎日を過ごすことに慣れた我々にとって、高望みをして波風を立てないことが幸せと考えられているのかもしれない。今のままで構わないと達観しているようでもある。

 確かにこれまでは大きな変動なく安定的に推移してきた。しかし、その間に大きな深刻な問題をさらに増大させながらの安定であった事実に目を瞑っていることはできない。国家が大量の借金をしながら目先の景気を重視し、景気の維持を図ってきたからである。

国の借金はもはや限界をはるかに超えている。それにもかかわらず、破綻にならない理由がある。国全体の経済力が強大であったためである。その優位性がなくなりつつある。この傾向は続くであろう。そして我が国の経済力が衰えると限界が来る。問題が表面化し、破綻が表れる。永遠の衰退が始まる。

 一年も早く是正を図らなければならない。分かっていても長年にわたり手が付けられなかった理由がある。一時の簡単な努力では解決できない深刻な問題であるためである。全国民が全企業と共に大変な犠牲を長年にわたった払い続けることが必要なためである。

 国全体の将来性よりも自分の目先を優先する考え方が今日の惨状をもたらしたのである。もはや従来どおりでは済まなくなってしまった。大改革が必要である。それは国民の一人一人に大きな犠牲を要求する。経済全体が大きく縮小する。経済界は深刻な苦境に陥る。

 それが長期間続かなければ解決できない大問題である。それに挑戦することが要請されている。勇気を出して現実を見つめ、試練を乗り越えなければならない。

 その長い苦難の道を潜り抜ければ、再び大発展の時代を迎えることができる。それを目指して個人も企業も早目に準備をすることが必要である。

 

---ISIDフェアネス-パーフェクトWebへの寄稿(2019.5.1)から---

inserted by FC2 system