2019.2.11
「景気ウォッチャー調査」の誕生
―――堺屋太一大臣との思い出―――
名古屋大学 客員教授
経済学博士 水 谷 研 治
堺屋太一氏が2019年2月8日逝去された。
長年にわたるご厚情に思いをいたし、ご冥福を心からお祈り申し上げます。
経済企画庁の堺屋太一大臣とのテレビ出演の後の雑談の中で「景気ウオッチャー調査」を始めることになった。
各種の経済指標を検討しているものの、それらが集計して発表されるまでには期間がかかる。すなわち多くの経済指標はやや古い状況を反映している。
身近な実情を知り、将来の見通しに反映するために、景気の実態を実感している人に教えて貰っていた。タクシーの運転手であり、飲み屋のおかみさんであり、小売店の売り子である。全国の各地へ講演に出る機会が多かったため、各地の貴重な実情を自分の景気判断の材料にしていたわけである。
同じことを堺屋大臣もやっておられたようである。体系的に纏めたいと思っていると言う。ところが、それは大変な仕事であり、大臣と言えども簡単には踏み出せない。そこで小生の所で始めることになった。
東海銀行の関係会社である東海総合研究所の社長であった小生は「景気ウオッチャー調査」に傾注した。名古屋地区だけで始めた。しばらく続けた後、全国へ調査網を広げ、取りまとめていった。
調査には膨大な手数が掛かる。それを北海道から沖縄まで各種の経済団体などが担っていただいている。それを全国で総取りまとめをしている調査機関が三菱UFJリサーチ&コンサルティングになっているのは、そのような経緯であろう。(東海総合研究所は現在、三菱UFJリサーチ&コンサルティングになっている。)
街角景気を敏感に反映する「景気ウオッチャー調査」を小生が多用してきたのは当然であるが、今や多方面で重用されているのを心から喜んでいる。
---名大望洋会(続)マイオピニオンへの寄稿(2019.2.11)から---