名古屋大学  客員教授

                            経済学博士  

  2018.3.1

過剰サービスへの決別

    ―――景気と無関係な人手不足―――

 無理しなくても就職ができるため、学生に危機感が乏しい。採用する企業の方は、早めに人材を確保しようとして懸命である。

 これまでの政策によって景気が上昇した結果として雇用面へ良い影響が出てきたと政府は言いたいであろう。その面が多少あるとしても、基本は少子化である。

 従って将来にわたり人手不足は続き、さらに酷くなることが予想される。それへの対応は当然に長期策となる。政府も次々と各種の対策を打ち出しているが、それを期待して待っているわけにはいかない。

 長年にわたり続いてきた慣行を変える必要がある。過剰サービスからの脱却である。

 そのようなサービスに慣れた顧客が客離れするとの心配が先立ちそうである。先走れば、矢弾に当たる可能性がある。しかし、それを言っておれなくなったのが物流業者である。対応を迫られる業界が目白押しである。

背に腹は替えられなくなってきた。人手不足による倒産の事例が増えそうである。対応を急ぐ必要がある。

 社会全体としてサービスに対して対価を支払う必要があることが認識されて浸透するまでには期間がかかる。しかし方向は変わらない。

 ことの重要性は企業だけのことではない。国民一人一人が意識を変えなければならない。時間に対する効率の問題が鮮明に出て来るはずである。無駄や遊びが許されなくなると、生き方を変えざるを得ない。

 過剰サービスを要求できなくなる相手は企業だけではない。国家や地方公共団体も同様である。公務員を減少させなければならないからである。従来通りの公共サービスを要求することはできない。

 それが日常のサービスだけにかぎらない。緊急時であっても、従来のような手厚い救済を期待することができないであろう。その分は自力で処理しなければならない。その準備が各人に要請される。

---ISIDフェアネス・パーフェクトWebへの寄稿(2018.3.1)から---

 

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