名古屋大学  客員教授

                            経済学博士  

 2017.10.1

経済的な犠牲は不可欠

    ―――外交・安全が最優先―――

 経済第一主義と言われる。経済は毎日の生活に直結しており、国民にとって重要である。それだけに経済が政治で重視されるのは当然と考えられている。

 ただし、それには前提がある。安全性が確保されていることである。そのうえで豊かさが求められているのである。

 長年にわたり平和で安全が保たれてきた我が国では、それが当然視されている。しかし世界の各国を見ると、そのために相当な努力が行われている。

気を緩めれば、隣国から攻められて権益を奪われるからである。

先ず国を守らなければならない。そのためには豊かさを犠牲にすることはやむを得ないと考えられている。

 戦後70年余りにわたり、我が国は極めて恵まれていたと言えよう。このような事態が続くとの保証はない。それだけに、これまでと同じことを前提として豊かさを求めていくことは難しいのではなかろうか。

 普通の国並みには安全に力を注ぐ必要がある。最優先は外交である。そして防衛である。そのためには従来とは違って、この面で各段の努力が必要である。

 人的にも資金的にも力を注がねばならない。多くの優秀な人材を当てる必要がある。残りの人々で経済活動を行うことになる。従来と比べて経済力は弱くならざるを得ない。

外交や防衛に多くの資金を当てなければならない。社会保障をはじめ我々が従来予定していたところへは資金が回らない。不足する大量の費用は国民が税金として負担せざるを得ない。それだけ国民の生活水準は低下する。

誰もがそれを避けたい。しかし遅れれば取り返しができなくなる恐れがある。

目先の豊かさだけを目指しているわけにはいかない。近い将来、大きな方向転換が必要であり、その影響をすべての国民と企業が受けることを考えておかなければならない。

---ISIDフェアネス・パーフェクトWebへの寄稿(2017.10.1)から---

 

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