東京福祉大学  大学院教授

                                    経済学博士  

    目先よりも重要な長期の動向

     ―――日本経済の長期的な展望―――2008.12.1

  株価をはじめドル相場も急落した後、乱高下を繰り返している。一寸先は闇である。これから先どうなるかが心配である。

  身近かなところが一番重要であることは間違いない。足元を固めて将来に対処することが必要である。情報量も多く、関心も高いために議論が沸騰する。話題にもなる。

しかし、本当に必要なのは将来のことである。目先の細かい動きに眼を奪われがちになるものの、将来に激動が予想されれば、小さな変化は簡単に押し流されてしまうからである。

将来のことは分からない。変動要因も大きい。予想が難しいと思われている。何に重点を置くかによっても違ってくる。それだけに意見が分かれるのが普通である。

しかし、大きな問題については分かっていることがある。それにもかかわらず、それが表面化すると自分達に都合が悪いために、意識的か無意識的かは別にして、無視することがある。

我が国の将来を考える場合に大きな影響を及ぼす要因が二つある。膨大なアメリカの貿易赤字と我が国の財政赤字である。そのお陰で我が国の経済水準は大きく引き上げられてきた。

それが限界を大きく超えている。アメリカの対外純借金が莫大な金額になり、もはや大転換は避けられない状況である。激減しつつある我が国の輸出はさらに大きく減ると考えざるをえない。

我が国の財政赤字と国の借金は膨大になり、縮小せざるをえない。それを実行すれば我が国の景気は激しく下降する。それが分かっていただけに、従来は掛け声だけで、何も実行しなかった。

しかし、もはや放置できなくなった。そのために我が国の経済水準は大きく下落していくはずである。

それが長期的に見る場合、我が国の経済が進むと予想される姿である。それを念頭に置いて将来の対応を考える必要がある。

―――ISIDフェアネスパーフェクトWebへの寄稿(2008.12.1)から―――

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