2005.11.1
奇跡の経済発展を実現した日本
―――60年前を思い出そう―――水 谷 研 治
景気が上昇してきているにもかかわらず、まだ不満を述べる人がいる。より良い水準を求めて努力することは好ましいことである。そのように自分が努力することなく、政府などに頼って景気を良くして欲しいと願うだけでは事態はよくならない。我々は自分自身の力がどれほど大きいかを考えてみる必要がある。
それには我々の過去を率直に振り返るのが一番早い。60年前、敗戦後の我が国は悲惨な状況であった。都市という都市は空襲によって焼き尽くされていた。原子爆弾を落とされた廣島と長崎だけではない。1945年3月10日未明の空襲によって東京は約10万人の人が殺されている。その後も東京を含めて、たび重なる空襲によってほとんどの都市は壊滅した。
住むところが無くなった。両親をなくした戦災孤児が駅で屯していたが誰も救うことができなかった。
着るものが無かった。食べるものが無かった。人々は毎日どのようにして食べるかに必死であった。
工場は爆撃によって木っ端微塵となっていて足の踏み場もなかった。機械も使い物にならなかった。鉄やアルミなどの材料や石油などの燃料は戦争で使い果たしていた。
物が無いために、何も作ることができなかった。働く場所も無かった。経済活動ができなかったわけである。経済水準は限りなくゼロに近かった。
どん底からの復興であった。それから半世紀、夢のような奇跡の経済発展を遂げたのである。一人当たりの国内総生産で一時は戦勝国のアメリカを凌ぎ主要国で一位になった。
奇跡の経済発展を達成したのは我々国民である。我々が本気になって努力すれば相当なことができることを身をもって示すことができた。
どれほど酷い状況になっても、60年前に比べれば天国であることに違いはない。必要なことに対しては、どれほど苦しくても我々は自信を持って努力を重ねるべきである。
―――ISIDフェアネスのパーフェクトWebへの寄稿から―――