2003.11.1

本気で改革すれば景気は急落――――20031101――――水谷研治

                         ―――それでも大改革が必要――――

  総選挙の争点になったのが「改革」である。

  「改革なくして景気の回復はない」と宣言して始まった小泉政権である。景気が緩やかながら回復歩調をたどっているのは、ようやく改革の効果が出始めたためと思われているかもしれない。この調子で改革を進める必要があり、そうすれば景気も上昇すると考えるむきもある。

  それはまったくの誤解である。我が国にとって本当に必要な改革は財政改革である。それは国家財政が放置できないほど惨憺たる状況になっているからである。

  長年にわたって我が国の財政は大きな赤字を続けてきた。赤字で不足する分を借金でまかなってきたため、国家の借金残高である国債の発行残高は鰻登りに増加し、異常な高額となってしまった。いわゆる建設国債と赤字国債だけで450兆円となり、実際に国が年間で使うことのできる年収の16倍にもなっている。

  借金の返済と毎年の金利支払のためには国民の税金を当てなければならない。あまりにも借金の残高が大きくなったため、現在は以上に低くなっている金利水準が将来、普通の状況に戻ると大変である。金利支払のために、全部の税収を当てなければならなくなる。公務員の給料もいっさい支払えない状況となっているのである。

  それが今後、借金を返済するまで永遠に続くのである。国家は実質的に破綻している。国家を破綻から救うためには、国の借金を大至急、返済する以外にない。それこそ改革である。

  我々が作った国の借金である。我々が返済していかなければならない。それには支出を徹底的に削減した上に、大増税が必要である。これ以外に方法はない。これこそ必要な改革なのである。

  その結果、景気は急落する。急落を覚悟して改革を断行しなければならない。それを我々は先送りしてきた。そのために、今になって改革しなければならない幅は極端に大きくなってしまった。それだけに、その悪影響を恐れてさらに改革を先送りしている。その間に財政の体質はさらに急激に悪化している。

  何時まで先送りするつもりであろうか。その間に少子高齢化が着実に進行する。改革の環境は一層厳しくなる。その上、その間に借金残高はさらに増大する。

  我々は景気の急落を覚悟して、大至急、大改革を断行しなればならない。その場合には大不況が到来する。今日のような豊かな時代は再び来ないであろう。

  その準備をしておかなければならない。

―――Tabislandへの寄稿(2003.11.1)から―――

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