2003.3.1

   極端な低金利の背景

    ―――異常な資金余剰―――20030301水谷研治

  金利は資金に対する需要と供給によって決まってくる。現在の金利が異常に低くなっていることは、それだけ資金に対する需要が少なく、供給が大きくなっていることを表している。

  景気がこれだけ低迷し、先行きに対しても明るい見通しが立たないと、企業は投資に慎重な態度にならざるをえない。投資をするにしても自己資金の範囲で行う場合が多い。そのために資金需要が出てこない。

  ところが資金の供給は膨大である。まず海外から輸出代金として国内へ資金が流入する。逆に輸入代金は海外へ出て行く。輸出と輸入の差は国際収支の黒字であり、膨大な黒字分だけ大量の資金が国内へ流れ込んでくる。

  それよりも大きいのが、財政の赤字による民間への資金供給である。国家は民間から税金で吸い上げるよりも、はるかに多くの支出をしているからである。

  さらに、資金余剰に輪を掛けているのが日銀による資金の供給である。財政政策による景気刺激の余地がなくなってきただけに、日銀による資金の放出に期待されているからである。

  しかし日銀による資金の大量放出によって、どれほど景気が刺激を受けるかは疑問である。したがって、日銀からの大幅な資金供給は変わる可能性がある。

国際収支の黒字も本来ならば、続くはずがない。為替相場の変動などを経て、やがては縮小するであろう。そのために海外からの資金流入も減少することが考えられる。

  ところが、財政の赤字体質は簡単に変わらないと思われる。しかも赤字額が極端に大きくなっていて、縮小が難しい。それが資金の大量供給の根本的な要因として残るであろう。

  このように考えると、資金の余剰は簡単に縮小するとは思われない。したがって、現在の超低金利は基調として続くと考えざるをえない。

―――ISISフェアネス パーフクトWebへの投稿(2003.3.1)から―――

inserted by FC2 system