迫られる国の借金返済----- インフレになる前に….010917―――水 谷 研 治
一 急落する景気
景気が急落している。株価の下落によって、景気の先行きに不吉な予感が増幅されている。政策による打開を求める声が出始めた。
すなわち、財政改革を一時的に棚上げして景気の振興を図れとの意見が出てきている。しかし、それは過去、幾度も繰り返してきた道である。その結果は決して満足できるものではない。
このうえ、さらに景気刺激策を付け加えても、その効果は僅かなものであろう。それでいて、発動される政策によるひずみはさらに上乗せとなり、赤字の累積としての国の借金がさらに膨大になっていく。
二 表面化していない問題点
この問題が今はまだ表面化していない。極度にものが余っているために、国の借金がインフレに結びつかないからである。また金余りの結果、金利が異常に低くなっていて、借金の金利負担が小さいためである。
しかし、将来はいずれ、普通の金利水準に戻るであろう。その時には金利の支払ができなくて、金利支払のために借金を積み増さなければならない。それが支払金利を増大させるため、国は一挙に借金地獄へと転落していく。
その影響は経済全体に及び、我が国の経済水準は急落を続けるであろう。
三 今の間に国の借金の返済を
悲惨な将来を避けるためには、インフレになる前に、すなわちデフレの間に借金を返済しておかなければならない。
借金をして資金を使う時には、使う人は収入以上に使うことができるために幸せである。反対に、借金を返済する時には、まったく逆になる。
それだけに、悪いと分かっていながらも、借金の返済を先へ先へと延ばしてきた。それだけではなく、毎年、膨大な赤字を出し続け、それだけ借金を増大させてきたのである。その結果、国の借金が限界をはるかに突破してしまった。
四 将来の国民のことを考えて
借金生活に決別して、それまで積み上げてきた借金を返済しようとすれば、生活水準を大きく切り下げなければならない。国民が節約して買わなければ需要が落ち込んでいく。経営環境が悪化するために、企業も支出の節減に努めるであろう。その結果、景気はさらに悪化する。失業率は上昇し、一人一人が激痛に苛まれることになる。
しかし、そのような事態を経なければ、借金を返すことはできないのである。
我々はそのよううな改革を景気が良くなってからにしようと先送りしてきた。しかし我が国の経済は右肩下がりとなっているのである。問題を先送りすれば、より厳しい経済環境のもとで、将来の国民をより苦しめることになる。
我が国経済の再発展のためには、希望が持てる未来を目指して、今こそ我々が激痛を耐え忍び、改革を断行する必要がある。
―――――夕刊フジ への寄稿 −−−9/11火P5 ―――そこまで来た日本経済地獄絵図 1

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